November 02, 2015

いわなつり

13


ほぼ毎年恒例行事となっている秋のいわなつりキャンプ


果て、、、最近 こうして”毎年恒例”のなどと書き始める事がやたらと増えてきた

別に この秋のいわなつりを 恒例行事にしようとなどと決めた訳ではない
それよりも --- どちらかといえば --- 「腹が減ったら飯を食う」 みたいな感覚で
大体いつもこの時期にこの辺りで待ち合わせをして そして野宿のついでにつりをする流れになっているだけの事だ


はままつくんとは それこそ当たり前のように毎週毎週峪沢へ通いつめた
最初は適当に目に入った沢へ 次に地形図を幾つも手に入れてシモから順に、、、

さかなが居ようが居まいが(居るか居ないか知れないという意味)手当たり次第に一つ一つ水線を潰して歩いた

あの頃は考えもしなかったけど
まさか あと何年こうして峪沢に重たいルックサックを背負って来れるかなどと 
ある程度真剣に考える日が来るとは夢にも思わずにね

とにかく また今年もこうしてやって来ることができた

03

大きくて太い幹が林道に落ちていた
腐りかけで見るからに重たい大木が二本も

如何したものかと、、、
それでも余裕の体で なんか面白いハプニングが起こったぞ くらいの感じで思案にくれていると
後から後から車がやってきて その車から人が三人 四人と降りてくる
そして みるみるうちに4mくらいしかない幅の道が人であふれた

何故か皆嬉しそうだった
如何する如何すると言いながら ニコニコワイワイしているのだ

聞くと この先の治山現場へ向かう衆らである事がわかった

朝から道がふさがれていて通れない
このままでは仕事に行かれない そんな状況であるにも関わらず 何故か嬉しそうな皆さん

つられて此方も笑顔になる 通れないのにね
でも どうにかしてくれるに違いない という感があった
なんの保障もなかったけど とにかくそんな雰囲気だったのだ

程なくして一本目が端によけられた

すると 「マツタケの匂いがする」 と一同大騒ぎになる
上を見上げたり丸太棒の裏を覗き込んだり 仕舞いには永谷園だよな、、、という的を得た発言まで飛び出す
二本目はいまだ道の半分をふさいでいるというのにね

でも 一本目が避けられた時点で この残ったヤツも皆でやれば動かす事が出きると判っていたから
もうなにも案ずることはなかった
少しだけ峪に到着する時間が遅れるだけという事だけだから 別に今日中に着けばそれでよかったからね

01

ハプニングは続いた

さっきの治山工事の衆らが居る現場を過ぎる時だった
それは突然監督から告げられた

それは 「この先の道が流されてて通れないかもよ」 と
でもそれには続きがあって 「ロープが垂れてるから行けるかな」 とも

ワタシたちは 笑顔で 判りました大丈夫です と言って先を目指した

思えば 初めて此処へ来たときも道は無かった
正確には コンクリーの壁を乗越していたであろう旧い林道が 大水で流され その壁だけが残った状態になっていたのだ
だからその壁をよじって越えさえすれば
当然その先には 旧くて荒れてはいるけど 素晴らしい道が続いていたのである

「最初に来たときと同じなんじゃね」 といいながらその壁を目指す

果たしてそれは、、、やはりそんな風であった
いや そんな風ではあったが 少し難易度が上がっていたようにも見えた
正確に記そう 難易度が上がったのではなく 「ワタシたちが歳を食ったから」 なのかもしれない

とにかく 壁を前に先ずは現場監督が言っていた綱に頼みの綱と名づける
そして 何時誰が何処に結んだのか知れない そんな八ミリくらいの怪しい綱に全体重を掛けて登るのだ
先が何処に如何結んであるのかさえ見えない綱に

後は 「切れないでね」 と願う事しか術はなかったのだよ またもや笑いながらね

02

ここでこうしてルックサックを下ろして休憩して居られるって事は
そう あの綱は二人が登り終えるまでは無事に残ってくれたという事だ

0903

二つほど予期せぬハプニングがあったけど
つりを始めるには まだ少し早いと思われる時間にテン場へと辿りつく

だからゆっくりと身の回りの仕度からはじめて
寝床をこしらえて
薪を集めて
昼飯を食って
そうしてからそろそろと出かけることにした

0204

峪沢の水はこの時期にしては太い流れだった
それと 今年は来るのが遅かったので少し肌寒くて水も冷たかった
だから つりにはどんなだろうと はじめる前は兎に角少し心配だったけど
つりはじめてみると 特にそれだからどうしたという事もなく いわなは次々と掛ってきた


ここらはそう高さもないから
晩秋(釣の時期としては)とはいえ 何時もはそう寒さを気にしたことなんて無かった
でも この日はお天気こそ良かったけど 何となくうすら寒かった
谿筋で陽があたる場所も少ないのでさらにそれが身にしみた

だから いつも少し先に見える日向を目指して釣り遡るんだけど
辿り着いたその日向は あっという間に通り越ちゃうくらいに短いときてる
でも一所で釣ってる訳にはいかないからまた遡るしかない
陽だまりが恋しいから またその向こうに見える日向を目指してね、、、ずっとその繰り返しだ

そうやって イイカゲン釣り遡ったなあと
そう思ったので時計を見た
でも未だに二時かそこらだった 何時間も経っていたような気がしていたのにね
だから あと少し あと一時間くらいやったら戻ろうということになった


また日向を目指しての遡行が続く

しかし あれほど恋しいかった日向を諦めてもいいと思えるほど
それくらいに倒木が幾重にも折り重なっているとこに出くわしてした(実際にはそうでもない ただ面倒だったにすぎない)
だから左岸の藪を突っ切ろうと思い峪筋から少し外れてた所を歩いたんだけど
その藪が --- といってもたいした藪じゃあなかったけど ---- それがやたらと面倒だなと

顔をあげると その先の左岸に見覚えがある岩壁が見えた
いつか来たときに棹を仕舞ったと思われる大きな岩壁だった

本当にオカシナ言い方だけど ふたりともさかな釣りはもう沢山だった
だからまだこの時点では三時になってなかったんだけど、、、

藪も面倒だったしという事で ここらで清くテン場に戻る事になった


毎回そうだけど
「今日こそ源頭を見に行こう」 そう言ってつり始めるのだが いつもそれを遂げた事がない
きっとこの先何度来てもそれは出来ないんだろうとなと思う

だから いつかつり抜きでやって来ようという事になった
山登りの衆らが冬に使う道を使って稜線へ抜けるのだ
でもそれだと やはり源頭は見られない
それなら やっぱりつりながらかなと
棹はもってきてもいいからこのクラシックルートを釣りながら抜けようかと
どうかな そんなテンコ盛りな計画は
多分そんなんじゃ源頭を拝むなんて叶わないのかもしれない、、、やっぱりつりは愉しいからね

できるか否かは別として 次に来るときは その二刀流をぜひ実行しようかと思っている
だって面白そうだからね
さて如何なることやら、、、


040601

その夜は肉を焼いていわなを焼いて飯を炊いた
汁は何時も通り水団を煮た

陽が暮れる前から飲んだり食ったりしていたので 二人とも飯の途中で寝落ちそうになったけど
いわながいい塩梅に焼けるまではと頑張った

060807

あくる朝もゆっくりとしたものだった
なんと言っても これ以上つりをするなんて事は放棄していたから時間はいくらでもあった

そうは言っても一応確認の為に聞いてはみたけどね「つりはいいよね」って
返事なんて待つまでもなかったけど
 
そうなんだ 目が覚めた時から 二人ともつりをする気は全く無かったんだよ
もう沢山だった 本当に いろんな意味でね

050807

朝に くすぶった燠火を再び熾して飯の支度をした

燠火で残り汁を温めなおして 湯を沸かした
大事に運んできたネギを刻んで 最後に残り飯で焼き飯をつくった
もっとも焼き飯は 失敗の無いようにとガスの力を借りたけど


昼前にテン場を後にした
でもね ようやく暖かくなってきた頃だったから 
出発の前に再度確認のためはままつくんに聞いたよ 「ちょっと釣るか」ってね

1205

頼みの綱は下降の時も切れなかった

林道に出ると谿側の斜面に山葡萄がいっぱいぶる下がっていた
幸いにして手の届くとこにもね
だから遠慮なく一フサずつ摘んで 種を吐き出しながらブラブラと歩いた

釣行日2015/09/28

この記事へのトラックバックURL