August 27, 2015

なつやま 1/2

spinnzack35F


夏やまは想像以上に暑い


そんな理由もあって
夏の盛りに山登りに行くなどという事は滅多にしない

なのに 暑い盛りに それもこの夏一番の暑い日に わざわざ山のぼりに出かけてしまった
如何考えてもあれは魔が差したとしか思えない、、、そう少しばかり冷静さが足りなかったに違いない


山のぼりに行くのだが
なにがあるか判らないので釣具も用意する(一体何があるというのか、、?)
そんな訳の判らない二刀流だから 集める荷物も必然的に膨大なものになる
要する時間も単純に二倍は掛かるだろうと
しかし 何の奇跡か それほど手こずる事無く準備が整ったのには 正直自分でも驚いた
おまけに それほどでもない規模と わりにすっきりとした荷姿で

一段落したところで(午前三時頃だったと思う)犬を散歩に連れ出す
外は夜明け前だというのに 生暖かいどころか真昼のような暑さだった
だけど 高い山に行けば涼しいだろうと このときはまだそんな楽観的な考えでいた

02午前六時 双葉SA で目が覚めた

緻密な計画通り事が運んでいれば
今頃は登り口にいるか 遅くともその辺りに到着するだろうといった時間帯だった

ちょっと悲しくなった

すると ”釣にするかな” なんてその悲しみを紛らわせようとでもしたのか
そんな投げヤリな何かが一瞬よぎるが 事はそう簡単には運ばない

大体だ この時はまだ何処を何が過ぎったのかも理解していないのである
自分が目覚めているのかさえも怪しいのに
ここでいきなり 行動の変更を誰に頼る事無く行うことなど 所詮は不可能なのだ

(仮)目覚めいたとしても無理だったに違いない

だから最初の予定通り動く事にする
ユダレを拭って 便所へ行って その帰りに珈琲を買って
そうしてもういっぺん高速道路の流れに合流して
遠くの登り口を目指すのだ

手は洗った筈、、、よく覚えていないけど、、、、、。



蒲田川の畔にある駐車場はいっぱいだった
一台くらい止めれるだろうとノロノロと一周してみたけど
やっぱりいっぱいだった

この辺の事はまったく不案内なので
素直にゴンドラ乗り場の係りの方に助言を求めた
すると ”鍋平” に止めればいいと

実は二度三度聞き返した ナベ はなんとなく判ったんだけど
その後が良く聞き取れなくて、、、

それにしてもだ
朝からナベとは縁起でもない響きだったけど あのヒトがそのケツに ”ゴン” と付けなかったのが救いだった
まさかあの人が ”ナベゴンにとめな” なんて言う筈も無いけど まかり間違ってそう言ってたとしたら、、、



とにかく車を鍋に停めて そっから二十分もアスファルトを歩いて駅に向かう
そして 朝から 下りのゴンドラを待つんだけど
それときたら まるで夜通し遊んで 明け方の地下鉄の駅へと向かう様な心もちだった
--------------
夜が明けるのが早いんだよ 夏だから
そんな短い夜が恨めしくて ”なんでこんなに明るくなるのが早いんだよ” 
なんて お天道様に向かってやんわりと悪態
のそのそ歩いて やっとの思いで地下鉄の駅に 階段を下ると明かりが蛍光灯のそれに変わるんだけど
それだけでなんとなく救われたような気になる けれど直ぐに周りのネクタイが目に付くんだな
で すべてを諦めざるを得ない事を思い知らされる 
始発の日比谷線を待つのはホントうんざりだ おまけに中目黒方面の列車は直ぐにまた地上へ向かうときてる
--------------
と まあそこまででは無かったけど 少しだけそんな荒んだ気持ちで新穂高を目指すのであった
そうそう アレが昇っていく方に行くゴンドラを待ってたんだとしたら そしたら全然違う思いだったろうね

03
穂高平小屋の辺でワタシよりも後発の青年に追い抜かれた
槍まで行くと言っていたけど
あれなら昼くらいには着いちゃうんじゃないかくらいの そんな勢いだった
そんなんだから二つ三つカーブを過ぎると 彼は直ぐに見えなくなった

それにしても酷く蒸し暑い 単調な林道歩きのせいもあって再び気持ちも萎えてくる
勢いがあるのは発汗作用だけ とにかく汗が凄い
もう全部出ちゃうんじゃないかと思えるくらいに吹き出てきた

それでも白出沢沿いの樹林帯に入ると幾らかましになった
とは言っても 林道を歩いているよりは くらいのモノだったけど

道が沢に降りて行ったところに橋が渡してあった
そこで水を汲んだ ついでに汗が引くまで暫く休んだ

あの時 行く手の方に見える雲がやたらとすくすく育って行くのが気になったけど
大丈夫だろうとたかを括っていた
でも時間も時間だから どこかで夕立に会うだろうとも

結局 盛大に降られて濡れた 




直ぐ止む 10分か20分もすれば止むと思っていたけど
どうして 一時間かもう少し長かったか兎に角なかなか止まない
それはもう ”今日はよして下っちゃおう 下って宿に転がり込んで釣にでも行こう” そう思わせるくらいな勢いだったね
振り返ると晴れ間が見えていた 麓の方はいい天気なのが良くわかった だから尚更だよね

残念な情報が欲しくて 上から降りてくるヒトにいちいち尋ねた と言っても二組だけだったけど

”上は酷いんですか” って
多分きっかけが欲しかったんだと思う ”そんな酷いなら” それなら下りて釣でもしようか といった引導がね

最初にすれ違ったのは二人組だった
直ぐ上の雪渓あたりで降り出して、、、と言ってた
だから その更に上が今どんな事になっているのかを聞く事は叶わなかった 

次に降りてきたヒトは コルにいた時から降られてたようで ”上はヒョウだったよ でも視界があるだけまだマシだね 一時間くらいでやむんじゃない” と素晴らしく明るい前向きな方だった
なんでも前の週にももっと北の方の岩稜で降られたらしく この夕立の方がマシだとも
、、、、という訳で誰にも引導は渡して貰えなかった

別れ際にテン場の混雑具合も尋ねてみる すると ”スッカスカ” と一言

あれは結構な雨の中での立ち話しだったけど ”また降られちゃったよ” とそんな朗らかな雰囲気漂うひと時だった

あれはね やっぱりね 夏だからだね
あれが寒くて凍えるような冷たい雨の中だったら きっと会話なんて無かったろうから
それだけでもあの日が 酷く暑い夏の日でよかったよね ホントに

0506

あの人の言った通り 夕立は雪渓を渡る手前くらいで上がった

その後も モクモク雲が湧き出してたけど
その雲は遠くのほうで雷を鳴らしてただけだった

雪渓は思っていたより小さくて だけどそれなりの容は残していた

雪渓を右岸に渡って上を見上げる
ちょっと前から見えていたコル
そのコルにある小屋の城壁
あれが全然近づいてこない

手前の歩みが遅いのが一番理由な事くらいは承知していたけど
それにしたってまったくあの目標物は大きくならない
この一本調子の登りはそれがちょっと辛いよね
でも ダラダラの緩い登り坂よりは全然マシだけど

07
日暮れの少し前にコルに着いた

小屋の受付回りは何かを買もとめる?衆らで混み合っている
そんな受付の前でザックをひらげて財布を探りだし代金を払う
再びザックを元通りにしてテン場へ

スッカスカのはずだったテン場は 最上部に以外に陣地は残っていなかった

てきぱきなんてのは程遠い手際で幕を張る
張ってる途中で腹が減ったので 暫し手を止め涸沢の雪渓を眺めならがあんぱんを喰うも
ぼんやりしてると暮れるぞという思いに迫られ 齧ったパンを今一度石の上に置き 続きを、、、
張り終えてすべてのモノを幕中に放りこみ振り返ると
登ってきた白出沢を挟んた遠くの方に雷雲が湧いていて 稲光が幾度も幾度も走るのが見えた
そしてその手前には 今当に雲の向こうへ落ちて行こうとしているお天道様

そうそう 幸にして夕陽を眺める時間も捻りだす事ができたようだった
おかげで 一人また一人と現れるカメラマンに混じって一緒に暮れ行くお天道様をありがたく眺めた






小屋に近い下段のテン場はすっかり埋め尽くされていて
空いているのはヘリポート脇と その脇の登山道を挟んだ場所のみ
ソコはテン場の中では最果ての地である事に変わりはないが
そこは最上段の眺めのいいわりと広めのスペースである
受付を済ませた今 用足し以外特に小屋へ赴く用事もないテント泊の身には最高の場所だった

08

陽が暮れると同時に 目の前のヘリポートに星観の衆らが集まってきた
時々ヘッドランプの光が此方を照らす
静かなテン場を満喫していたこの時 少し嫌な予感とちょっとした怒りが芽生える
が 時同じくして此方も予期せぬ仕事?の電話が入る
幕のファスナーを一旦閉めて対応するも 閉めたら電波が、、と思い慌ててまた開ける
そのくらいで変わるもんじゃないかと 開け閉めしている自分に呆れる

そんなバタバタの間に 星観の衆らは皆引き上げたようだった
夏とはいえ暮れるとちょっと肌寒かったからね

電話をしながら時々幕から顔を出して星を眺めた
誰もいないヘリポートへ行って そこで星を眺めながら電話を続けても良かったけど
結局そうはしなかった
あれくらいの集まりにちょっとした怒りを覚えた自分を棚にあげて
こっちの会話を下のテントのヒトたちに聞かせるのも気が引けたから

その一終わり その二へつづく
2015/08/04 白出沢〜穂高山荘テン場

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