June 08, 2015

やまめつり、いわなつり

hike


そろそろつりでも行こうか と思っていた矢先に声がかかった


四月も終わろうかという頃になって ようやく釣でも、、、という気分になってきた

いつもの年なら この時期には 既に一度くらい近くの峪沢へ出かけているものだが
今年は いつもの年よりも暖かい(と感じている)にも関わらず まだ一度も糸を垂れていない
いやいや それ以前に 道具さえも揃っていない
もちろん家の何処かにその道具がある事はある 要は 単にひと所に寄せていないという意味だ

実は三、四日前に ちょっとだけと思い立ち 慌しく出だしたことがあった
お昼もとっくに回って お茶の時間も迫り お天道様が一番高いトコにあった
そんな頃だったかな 確かそんな時間だったと思う

鮮やかな緑のうらやまを正面に見ながら 
その雑木の入り口で左ヘアピンカーブになったスロープを上がる
上がりきったT字路を今度は右へ するとそこが街区の外周を走る通りだ
この通りに出ると更に そのブロッコリーのように盛り上る雑木の頭が良く見える
特に顔をそっちに向けなくても 自然と視線には まるで茹でた後の鮮やかな緑色のそれが目に飛び込んでくるのだ

そこから大通りへと続く長くて急な坂をグングン下っていくんだけど
ここで何時も何か忘れちゃいませんかと考えをめぐらせる

案の定この日も その坂の途中で 家に置き去りにしてきたリールの事を思い出した

なぜかよくリールを忘れる

ほんとによく忘れる それにしてもってくらいに

覚えているだけでも4回か、、6回かな
でも あの日のそれは それ以外の日の(過去数回の)決定的なミスとは少し性格が違う
そうそう あの日は幸いにして一人だったし 犬さえも連れていなかったし
だから 別段 誰に何の気を使うこともなかったし ただただ時間を喰っただけだったし、、、

the color of the rainbow


でも そんな緩んだ心構えを山ノ神にでも見透かされたのか
峪沢の入り口着くと同時に雨が落ちてきた
それも大粒で そして容赦のない程の降り方だった

仕方が無いので車止めでそのまま3、40分くらいだろうか
車の少しグレーかかったガラス越に外を眺めていた
そのうちにこの雨が止むのはなんとなくわかっていたから
別段 うんざりしたとか 打ちのめされたとかいう気分ではなくて
ただただ落ちてくる雨と その向こうに煙る大群の方をぼんやりと 穏やかなココロでね

そうやって口をあけて西の空を眺めていると 手に取るようにあの雨雲の動きが見えてとれた
ただね 陽暮れが近かったんだよ ほら忘れモノとかして 家にもどったりしてたからね
だから穏やかな中にも 正直少しだけソワソワ感もあった事は確かだった

日が伸びたからといっても陽が落ちると峪底は暗くて怖い
峪底でなくてもそうだけど峪底は何倍も早く暗黒がやってくるから
そういう所にそんな時間に居ちゃいけない(怖がりのボク見たいなのは特に)
だからそんな状況を招く前に きっぱりと諦める事も時には大切なんだな

もちろんあの日はそうした
雨足が弱くなったからって ”ちょっとだけ峪へ降りよう” なんてそんな事考える前に

一時間ほど前に上ってきた林道を潔く引き返す
すると二つ目の集落を通過する辺りで虹が見えた それはうんと久しぶりに見た虹だった
あんまり久しぶりだもんだったから 車をとめて窓から首を出して良く見てやろうかと
実際にそうしたけれど そうまでしても ガラス越に見えたのとはほんの少しも変わらなかった

こんな事してたからって何時までもそこにいた訳じゃない
多分 一分か一分半くらい とにかくそのくらいのもんだった
ついでに言っとくけどあの虹は二重だったんだよ ただそれだけだけど、、、


angler and pupangler

だから これが今期二度目の釣行だってことになる 実際には ”やまへ行こう” って誘われたにしてもだ

そうそう 幸いにしてあの一行の中に釣目当てだった者がボクの他に一人混じっていた
だからといって 皆と一緒に山へ登らないよって なんて 最初からそんなつもりじゃなかった
でも イザ あの懐かしい流れを前にしたら、、、、山なんて登ってる場合じゃないよね 


ここへ来たのは二十年ぶりかそれ以上かだった
そんな遠い昔のおもひでの峪だから 道中 歩きながら峪を覗き込むと懐かしい感じがした
峪筋が曲がり また真っ直ぐになり また曲がる
その度にその先がどんなだったかを想いだしながら歩いた

だけど ちょっとピンとこなかった
確かにトンネルとか そういう大きな目印になる物は覚えていたけど
それにしてもってくらい記憶が曖昧だった

実は あの頃は車で一足飛びにロッジまで入っていたから
ホントの所 ここを歩いたのは二度目だったかな、、、たぶんその程度かと思う
だからかしら いまひとつ距離感が戻らなくて なんとなく中途半端なあいまいな記憶ばかりだったのは

でも今でもはっきり覚えている事も沢山ある
朝早くに それもまだ暗い早朝に押しかけて佐藤さんご夫妻をはじめ色々な方を困らせたことや
渋るお婆ちゃんに無理いって弁当拵えてもらったこと
”えーっっ” とか ”もっと早く言ってくれなきゃ” なんて言いながらも
キャラブキとかお新香とか他にも幾つかおかず入れてくれてたりして
笑いながら ”いっぱいつんなよ” って送りだしてくれたこと 
沢を詰めてロッジに戻ったときには真っ暗で ”暗くなるまで何やってる” って思いっきり怒られたこと
何シーズン通ったかは忘れたけど ほんと散々お世話になった
ここでのそんな良いおもひでは 今もちゃんと覚えている

そんなおもひでの場所に来て皆で野営した

各自がテン幕を持参していた 総勢六名 テントも六種類
だから 河原から一段上がったその平たい草地には 一瞬にしてカラフルなテント村が出現する事になった

寝床の用意が終わって ちょっとなにか食べて
その後 陽が暮れるまでみんなで釣をした

,,,camp

今時分は陽も伸びて夕方に釣るのには持って来いときている
追い立てられるようには暗くならないから それこそのんびりと釣遡れる 大勢でゆったりと
でもあの時 正直釣れるなんてこれっぽっちも思ってはいなかった
特にあの日はじめて棹を握り糸を垂れた三人にはね
でもね 聞いた話だけど それでも釣は愉しいらしいよ、、、あくまでも聞いた話だけどね
なんで念を押すかというのはわかってもらえるよね そんなことは云わなくたって、、、、、、。 

camp

陽が暮れたら暮れたでまたそれが愉しい

野山で一晩過ごすとなると なにかとやる事が多いのだが
だからといって時間が足りなくなる事はない それはホント
その反対に時間なら幾らでもある と思えるくらい
普通なら面倒なんだろうけど 時間ならあるし それならやってみようかって
で なんだ愉しいじゃないって事になってくる
おそらく 非日常的な何かにトリツカレテ

その何かは知れないけど とにかく理屈抜きにヤッテルコトが愉しくて仕方がないんだろうね

非日常、、、
だったら何も 野山で非日常的な行動をしなくてもいいのに と思われるだろうが
それじゃあ街で何か、、、となると 往々にして変人扱いされたり 奇人扱いされたり
それくらいならまだいいが のめり込み過ぎて ヘンタイ扱いや 警察預かりとかになると厄介だ
なのでここはやっぱり 野山で原人ごっこくらいが平和で幸せかと思う  

とにかく日頃なんであんなにせせこましく動いているのかと
たまにこういうところへ来て一晩でも過ごしてみると そんな事を思い知らされるが
あくる日になって家に帰ると
そんな事はすっかり忘れて また分刻みか秒刻みで ともかく忙しない自分に戻ってしまうのだ
戻りたくないって 火を見ながら なんども前の晩にそう呟いていたのにね

hikerangler

あくる日
若い衆らは橋を渡って向こうの山へ
残されたそう若くない僕らは 壊れた橋をくぐってその奥の沢へ釣に


yamame

登らなかったので このときの山の話は無い

だから釣の話を

暫く沢沿いの林道を歩いてから沢に下りるんだけど
その林道から あちこちに山のツツジが咲いているのが見える
それよりもう少し高いとこには山桜も咲いている

濃い色と薄い色の花でどちらもホントに綺麗だった

流れがまとまった辺りで沢へ降りた
いつか来たときのような 魚ッ気のない流れだったけど
やはりいつか来たときと同じように ちゃんとさかなは居た

ざら瀬を適当に毛鉤を流すと 
小さなやまめが直ぐに追ってくる
ここらにもまださかなが居るのが分かって安心した





さらに少し遡って
”ハタさん こっちが沢筋だったかなあ” って聞いたら
すると彼は振り返って
”向こうです” って
”あの橋の向こうです” とさらに

あれはダンプが行き来していた橋だったけど 今は軽トラも渡れそうになかった

もちろん沢沿いの道もなくなっていた

普通なら 橋や道がなくなるなんて そんな荒れ果てた様子を聞くと寂しい気持になるだろうけど
ココにはそんなものは必要ない だから峪沢の荒れ方は別にして
道やコンクリーの橋が朽ちて行くのはとてもいい事だ

だけど 願わくば 仕事が済んだら現状復帰してから帰って欲しいものだ

なんの役に立つのか埋まり放題の堰堤やら
まるで使い捨ての護岸を作るだけ作って
工期が終わればそのまんま ほんとに腹が立つよね、、、、書き出したらキリが無いね

iwanaangling

あの頃は こっちの沢にはいわなが居なかったと思うが 今ではいわなっきり釣れないらしい
いや一番上の方には居たかな、、、、はてどうだったか

そんな情報どおりに釣れるのはいわなばっかりだった

この沢ではっきり覚えていることといえば
一緒に行った浜松くんが 高巻きのときにタラの木をギュッと握って大騒ぎしたってことくらいかな

そういえば ”マムシがいた” って 
小屋に戻って管理人のお婆ちゃんに言ったら ”始末したか” って聞かれた
”可愛そうでしょって” そう口答えしたら ”悪さするから” って
おもひでは蘇るね

fin

堰堤まで釣って仕舞いにした

テン場に戻ると
いいタイミングで山に行ってた若い衆らも直ぐに戻ってきた
彼らは山のうえでうどんを喰ってきたと言っていた

そういえばココのお婆ちゃんも
小屋にお客がないときに ”あの山へ登ってきたよ” と言ってたな
ほんとに色々思い出される

最近のことはまったく思い出さないのに

2015/04/21-22 おもひでの山小屋付近で

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